124th metaPhorest セミナー
2026年10月16日(金)19:00-21:00

124th metaPhorest Seminar by 齋藤帆奈 Hanna Saito
This event will be primarily in Japanese, but questions and comments in English are also welcome.
10/16(金)のmetaPhorestセミナーでは、齋藤帆奈さんにお話しいただきます。セミナー後の懇談タイムもあります。ぜひお越しください!
2026年10月16日 (金) 19:00–21:00 早稲田大学 先端生命医科学研究施設(TWIns)3F セミナールーム3
https://maps.app.goo.gl/Wy23SqPPMo3P7V8JA
ONLINE (映像の画質は悪いため、可能な方はぜひ現地へお越しください)
This seminar can also be held online. Zoom Link
粘菌と描く——Slimographyの変奏から新たに聞こえてくる主旋律とは?
【概要】
野外で採集された未同定の複数の粘菌株を用い、粘菌の移動の軌跡を色彩として記録する「Slimography」の技法を体験します。ろ紙に粘菌を植え付け、顔料や食用色素を混ぜた餌を与え、それぞれが生み出す軌跡や模様を観察します。
【コンセプト・詳細】
科学は普遍性を、芸術は個別性を追求するものとして捉えられがちです。しかし、1725年に哲学者フランシス・ハチスンは『美と徳の観念の起源についての探究』で、芸術と自然に見いだされる美の原理として「多様の中の統一」を論じました。多様であることと、そこに共通する秩序があることは、必ずしも相反するわけではありません。
私の普段の制作では、私自身の世話の仕方や環境の整え方の癖も、粘菌のふるまいや作品の形成に関わっていると考えられます。それでは、関わる人が変われば、粘菌との間にどのような異なる応答や表現が生まれるのでしょうか。本ワークショップでは、私が制作に用いているSlimographyの技法を、参加者の皆さんに実践していただきます。それは、一つのメソッドから、それぞれの粘菌と人との関係を通して生まれる、さまざまな「変奏」ともいえるでしょう。
環境を整え、物質を与え、生命の応答を観察するという点で、この制作は科学実験と共通しています。一方で、野生株を単離・純粋培養せずに用い、実験者の関わり方を統制せず、さまざまな顔料や食用色素を与えるため、多くの変数が絡み合います。そうした絡み合いの中からこそ見えてくる、生命や自然の普遍的な性質はあるでしょうか。
終了後も、クラウド上の共有プラットフォームに写真や観察記録、世話の工夫などを継続的に寄せていただけたら嬉しく思います。私一人の制作では捉えきれない、多様な生命と人との関わりを持ち寄ることで、それぞれの変奏から、どのような「主旋律」が聞こえてくるでしょうか。そこから生まれる知識は、条件を統制した科学実験で得られる知識とどこが異なり、どこが共通するのか、みなさんと共に考えてみたいと思います。
齋藤帆奈 Hanna Saito
現代美術作家。1988年生。多摩美術大学工芸学科ガラスコース卒業後、metaPhorest(biological/biomedia art platform)に参加し、生命素材を用いる表現実践を開始する。現在、東京大学大学院学際情報学府博士課程(筧康明研究室)に在籍し、2025年度より東洋大学総合情報学部助教。
理化学ガラスの制作技法を活かしたガラス造形や、生物・有機物・画像解析を用いた作品制作と研究を行ってきた。近年では、野生種を含む複数種の真正粘菌を採取・培養し、制作・実験に用いている。
主なテーマは、自然/社会や自己/他者の境界を再考しつつ、創造や制作行為を、主体が素材に形を与えるものではなく、複数の系が相互に干渉し、同期/非同期をともないながら立ち現れるプロセスとして捉え直すこと。

